大企業の論理
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もう少しの我慢だとか、いまを乗り切ればなんとかなるとか、そんな上っ面な言葉はとちどころに排され、耐えるしかない悲惨な現実だけが目の前に醜悪な現実として横たわっている。
つらい時、人はそれがいつかは終わると確信しているから強くなれる。だが、いつ終わるとも知れない闘いがもたらすものは、絶望と脱力だ。
それでも俺は闘わなければならないのか―――。
そのことに思い至った赤松は、もはやどんな感情も感じないほどに疲れ切っている自分にも気づいていた。
だが、立ち止まるわけにはいかない。前進しなければならない。
家族と会社、そして従業員がいる限り。
いつか必ず、この苦しい闘いは終わる。終わらせてみせる。だから―――。
だから頼む、ついてきてくれ―――!
赤松の心中を揺るがす無言の叫びは、空虚な家の中で方向感すら失う。
(池井戸潤『空飛ぶタイヤ(上)』講談社文庫)
走行中のトレーラーのタイヤが外れて歩行者の母子を直撃した。ホープ自動車が出した「運送会社の整備不良」の結論に納得できない運送会社社長の赤松徳郎。真相を追及する赤松の前を塞ぐ大企業の論理。家族も周囲から孤立し、会社の経営も危機的状況下、絶望しかけた赤松に記者・榎本が驚愕の事実をもたらす。
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大企業の力ってもんはすごいです。
組織の表と裏。
隠蔽工作とでもいいましょうか。
その中での内部告発。
そして、上層部の権力。
大企業の中での歯車がだんだんと狂ってくる感じに緊迫感があり面白いです。
まだ途中ですが、先の展開が楽しみです。
日本を支えているのは、中小企業ですね。
もちろん、大企業も含めて、すべて日本の力となっていますが、
その底辺を支えているのは、中小企業の底力だと思います。
それにしても、“権力”ってもんは恐ろしいです。
人が変わってしまいます。
なので、政治家をはじめ、権力を持っている人には、
その権力の魔性に負けない確固たる哲学を持ってほしいと思います。
ちなみに、日本は国民主権。
一応ボクらも権力を持っているってことか・・・?
なので、ボクらにも各々哲学を持つことが大切でしょう。
なんせ、政治家を監視する立場ですから。
ドジョウは泥に隠れて見えにくい!!w
- 作者: 池井戸潤
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/09/15
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