自分たちがやってきた過程は自分たちが一番よく知っている

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 試合のコートに立てば、ただ勝ちのみを目指すだけ。学区の制約や能力の差なんてまったく関係のないことだ。だが、常に自分の限界ギリギリで闘っている選手たちを見ると、「このチームでよく決勝までいった」「このチームでベスト4は上出来だ」などという線引きは当然出てくるものだ。反骨精神で、負けたくない一心でやってきているが、全力を尽くしたうえでの負けに対しては自分でも腹をくくることができる。
 それは、勝ち負けにこだわりながらも「仙台高校らしさ」を創っていく過程を大切にしたいという思いがあるからだ。負けてしまったら今までやってきた過程はムダになるのかといったら、決してそうではないと思う。私は「勝つために最善の努力をしたかどうか」が大事だと思っている。自分たちがやってきた過程は自分たちが一番よく知っている。それをコーチが評価してあげられなくて、誰が評価できよう。
 強豪校の監督が聞いたら甘いと言われるかもしれないが、私はこれが佐藤久夫のチーム、これが仙台だと言われるチームを創りたい。負けを経験することは何も恥じることではない。結果が出ないと人は不安になるものだが、負けたあとに何をすべきかで人間の価値は決まると思う。負けたことを教訓として生かしてきたから、今の仙台高校がある。その“次”ができる人間は強くなっていく。大学生になっても、社会人になっても、日常生活は勝負の繰り返し。高校時代に学んだ真剣勝負の経験は必ず生きてくるはずだ。
 日本一になることはほんの一握りの人しか経験することが出来ないが、日本一になるための努力は誰だって出来る。その努力が出来る人間に育ってほしい。


(佐藤久夫『普通の子たちが日本一になった』日本文化出版

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結果か、過程か。

真剣勝負で挑み、「負け」という結果が出たとき。

どう捉えるかは、自分次第ですね。

結果なんて関係ない、過程が大事だ。
という考え方もあるけど、
それもどうなのかなぁ〜なんて思ってみたり。

一方で、
結果がすべてだ。負けという結果が出ているのに、過程が大事なんて、ただの言い訳だ。
という考え方もあるという・・・。

どっちが正しいというのではなく、
それは、自分の中で受け止めるしかないと思います。

第三者が決めることではない。

だって、
「自分たちがやってきた過程は自分たちが一番よく知っている」んだから。

先日、仲間達とそんなことを話していた次第です。


考え方は、人それぞれですが、次へのエネルギーに転換できるかどうかが重要で、
そのための捉え方であれば、どちらでもいいと思うんです。

過去は変えられないですからね。

もちろん、過去も大事。
しかし、それ以上に大事なのは、“未来”。

という、ボクの考え。

それぞれの考え方がありますが、
自分と違う考え方の人との対話の中でこそ、自分も学び、成長できるというものです。


ps.
上の本は、高校時代、朝の読書の時間に繰り返し読んでいたものです。
先日、本棚を整理していたら出てきて、今日パラパラと読んでみましたが、
学ぶこと多しです。

佐藤久夫監督は、数年前、我が県にも来て頂きました。
確か、日本バスケットボール協会公認コーチ講習会の際、県の高校選抜チームの練習を兼ねて、ご指導しておりました。
練習メニュー一つ一つが試合に繋がるものでムダがない。という感じでした。大変参考になりました。
現在は、仙台高校ではなく、同じく宮城県の明成高校の監督だったと思います。
創部3年目にして、全国大会常連校まで創り上げました。名監督としか言いようがないです。
秋田の能代工業、宮城の仙台高校・明成高校・・・
東北には粘り強いチームが多いです。

最近は、九州勢が全国トップレベルですけど。
日本全体で、若い高校生のパワーで元気になってもらいたいですね!


pps.
結果か、過程かという話ですが、
あまり負けばかりが続くと、何してるんだ。っていうことになっちゃいますから、
やはり結果も大事です。
となると、過程が大事になってきますね。過程あっての結果ですから。
つまり、どっちも大事ということになってきますかねw
因果具時ですから。

そして、もう一言付け加えるならば、
勝負は終わらないですから。
結果が出ても、それは一時的なものであって、休む間もなくまた次の勝負に続くわけです。
例えるなら、高校3年間がすべてではないということです。
3年生でバスケ部を引退したとしても、また、次の戦いが始まりますよね。就職にしても、進学にしても。
「大学生になっても、社会人になっても、日常生活は勝負の繰り返し」ですから。
そして、これは死ぬまで続きます。

なので、人生の途中で、勝ったり負けたりの結果は出ますが、それは連続性の中にあって、本当の決着は、晩年だと思うのです。
最後に勝ったものが、真の勝者だと思うんですね。


そして、最後にもう一言!
勝海舟の言葉。
「今の人間は、今日やったことは今日世間に知られて、今日褒められないと気がすまないという人間ばかりだ。ほんとうの偉大な人物というのは、二百年か三百年かからなければ評価はわからないよ」

っちゅーことですわ。


普通の子たちが日本一になった!―仙台高校の『心技体』

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