そんなものは想像の産物でしかない。といっている間は・・・
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「差別や偏見のない世界。そんなものは想像の産物でしかない。人間というのは、そういうものとも付き合っていかなきゃならない生き物なんだ」寺尾の目を見据え、自分でも驚くほどの落ち着いた声で直貴は語っていた。目をそらしたのは寺尾のほうだった。
(東野圭吾『手紙』「第五章」396頁、文春文庫)
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まぁ、「想像の産物でしかない」と言っている間は、世界は変わらないでしょうね。
差別や偏見があって当然の社会ですし、自分の中にもそういった心があるのは当然だと思います。
正直見たくない自分の卑しい心は、誰にでもあると思います。
ただ、そこからどうしていくかってことだと思うんです。問題は。
人生は常に善と悪の壮絶なバトルだし、この腕でパドルしていかないといけない。
不可欠なのは真のコンパス。とまぁ、どっかの歌みたいになっちゃうんですが・・・。
まだ若いのか、世間の常識ってやつがあまり見えてこないですし、当事者になってみないと分からない部分もあるのですが、差別や偏見のない社会は、その気になればつくれると思うんですね。それこそ、革命運動でもしない限りできないと思いますが・・・。
他人のことをとやかく言っている間は変わりませんし、「世間ってこんなもんだよね〜」って仕方なしな流れでは決して変わりませんよ。
あと、“運命”の捉え方。
この『手紙』という小説は、「強盗殺人の弟」という運命を背負わされた主人公の物語だと思うんですが、その運命を受け入れ、自分がどのように人生を生きていくのかという“使命”に気付いていくことが注目どころかと。
受動的な立場から、主体的な立場へ。
これだけでも、人生は大きく変わると思うんですけど。
あと、人間はだれでも何かしらの傷を抱えているということ。
どれだけ裕福そうに見えている人間も何かしら背負っている。
あの人も、この人も。
このことについては、また別の機会に書こうかと思いますが、
とりあえず、『手紙』面白かったですよ。
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