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祈りは「未来をよい方向に変えようとする営み」

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 脳の中で記憶を司る部位である海馬は、これまでにあったことを記憶するだけでなく、「未来にやるべきこと」「将来行う行動」についての「展望的記憶」(Prospective Memory)もコントロールしています。
 たとえば、「来週の水曜日に午後二時から○○さんと会う」という予定を記憶していることが、展望的記憶です。ちなみに、認知症患者では、この展望的記憶の能力が極端に低下しています。
 この展望的記憶をしっかり持っているか否かが、じつはその人の生き方にも深い次元で影響を与えています。それは、たんに「スケジュール管理がうまい」といったレベルの話ではありません。私たちが未来に対するヴィジョンをしっかり持ち、希望をもって人生を歩んでいけるのも、じつは展望的記憶の能力があればこそなのです。
 なぜなら、10年後、20年後の自分や家族、自分が所属する集団(会社など)の姿をいきいきと思い描き、「かくありたい」という目標を設定することも、展望的記憶の一部だからです。
 展望的記憶の能力が低い場合、「こうなりたい」というヴィジョンに乏しく、目標達成への地道な努力も苦手で、何をするにも意欲がわきません。そのように、展望的記憶の強弱が、生き方にも大きく影響を及ぼしていくのです。
 また、最近の研究で、「人間が未来をいきいきと思い描くときに、海馬の活動が活発になる」ということがわかりました。
 未来をいきいきと思い描くことは、若者だけの特権ではありません。お年寄りの中にも、未来へのヴィジョンをもってはつらつと生きている人はいます。
 それは、何も自分自身の未来についてのヴィジョンでなくてもよいのです。「自分の所属する集団が、10年後、20年後、100年後にはどんなふうに発展しているだろうか?」と思い描くだけでも。心はワクワクし、海馬も活動するのです。
 いきいきと未来を思い描けるお年寄りの海馬は、年齢のわりに委縮が進まないはずです。逆に、子どもや若者でも、未来についてなんの夢も抱けず、将来に不安しかなければ、海馬はあまり活動せず、ことによると委縮してしまう可能性すらあります。
 では、展望的記憶を強化し、希望あふれる未来に向かっていきいきと生きていけるようになるためには、何が必要なのでしょうか?
 さきに、“「よい祈り」はベータ‐エンドルフィンやオキシトシンの分泌を促し、そのことが記憶力の向上にも結びつく”と書きました。すなわち、「よい祈り」は展望的記憶の強化にも役立つと考えられるのです。
 そもそも祈りとは、本来、未来に向けられるものです。変えようのない過去に祈りを向けても仕方ありません。亡くなった方のことを祈る場合でも、私たちはその人の生命が未来に向けて安らかであるよう祈るものです。
 祈りは「未来をよい方向に変えようとする営み」ですから、私たちは祈るとき、未来に心を向けます。将来かくありたい、かくあってほしいという願いが祈りなのです。だからこそ、祈りという営みの中で、人はおのずと展望的記憶を強化していけます。
 すなわち、脳科学から見れば、日常的に祈っている人ほど、展望的記憶をしっかりと持っていきいきと生きることができるのです。それがポジティブな利他の祈りであれば、脳に与えるよい影響も強まって、なおのことよいでしょう。
 東日本大震災の発生以来、日本中、世界中の人々が、日本のため、被災地のために祈りを捧げています。いまほど、日本という国が深い祈りに包まれているときはないでしょう。
 そして、日本を包むその祈りが、この未曾有の事態を乗り越えていこうという未来への力強い祈りであるなら、ここまで説明してきたとおり、それは祈っている人の脳内を変え、心を変え、そのことを通じて人々の生き方をよい方向に変える営みへとつながっていくと言えるのです。


(『脳科学からみた「祈り」』「第1章 脳に与える祈りの影響」中野信子、41-46頁、潮出版社

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教採試験まであと5日となりました。

4月以来、問題集に集中的に取り組む時間がなく、今日、過去問や『教員養成セミナー』の問題集に取り組みました。

そこで、「明日が祝日でホントに良かったー!」と叫びたい気持ちになりました。

時間はありません。マジで。

でも、やれるだけのことはやります。というか、やらねばならぬ。

将来に対して、色々思うことはあります。
が、
今は、目の前の課題に向けて、全力を尽くす。


どんな状況になろうとも、希望だけは失わない!

常に未来に明るい展望を持っていれば、絶望ということはない。

それは、見せかけの恰好ではなく、深き祈りから発する強き生命力。



脳科学からみた「祈り」

脳科学からみた「祈り」