将来、赤ん坊になるために、勉強しなければならない。

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 昨日、おじさんは、とんこつラーメンを食べました。とんこつラーメンはとてもおいしいが、どんなものかみんなは知っているかな。

 これはラーメン屋さんが発明したのです。普通のラーメン屋をやっていたんだけど、豚の骨でダシをとるとたいへんおいしいことを発見したんだ。そして、とんこつラーメンが広まった。これは、一つの創造です。

 みんなも、最終的には創造の人生を送らないといけないね。

 そのためには、勉強はしんどいけど、それに耐えなくてはならない。

 勉強を始めると、みんな「頭が痛い」と言うね。

 ▼頭を抱えて、頭が痛いしぐさをする。

 勉強が終わると元気になる。

 勉強するのは、みんなしんどい。それに耐えて、批判精神を持つようになる。そして、最終的には創造する。人生は、そうならないとダメなのです。

 創造することは、学者や芸術家だけでなく、学校の先生にも、ラーメン屋さんにも、実業家にも、政治家にも必要です。

 そういう人生を終えた人の人生は、立派な人生です。

 創造するためには知識が必要です。しかし、いちばん大事なのは、赤ん坊のような新鮮な感受性だよ。

 

河合隼雄梅原猛 編著 『小学生に授業』「学問の楽しさ  梅原猛」24-25頁、朝日文庫、2013年)

 

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ドイツの哲学者・ニーチェは、人生には三つの段階があるとし、最初はラクダ、次にライオン、そして赤ん坊。

この三段階。大学の授業の中で、出てきました。一体、どういう段階なのだろうと、学生たちで考えました。時間がきたのか、正解は聞けなかったと思います。自分が聞いてなかっただけなのか・・・;

とかく、この本を読んで、そんな記憶が蘇ったわけですが、その三段階は、どういうものかというと、最初のラクダは、“忍耐”。勉強するというのは、ラクダが重い荷物を背負って砂漠を歩き続けるのと同じように、一生懸命、知識を蓄えるということだそうです。

次のライオンは、“批判精神”。批判精神を持たないと、学問をしていても一人前にはなれないということ。学んできたことがすべて正しいのか。間違っているのではないか、と考えること。考えることです。でも、それだけではいけない。

最後は、“創造”すること。そのためには、赤ん坊のような無邪気さが必要だということです。新鮮な目でモノを見るということ。

 

人生において大切な“創造”すること。その最終目的に達するためには、まず忍耐という努力が必要なんですね。

勉強はたしかにしんどい。でも、そのしんどさが力になることは間違いないわけで、この努力なしに、批判精神も創造もない話。

 

人生において大切な“創造”ですが、何を創造するか、ということも大切な問題ですよね。この人生で、人との関わりなしに生きていくことは現実的に無理なわけで、やはり、創造というからには、破壊、混乱を招くようなことはあってはならないこと。

間違った価値観の上の創造は、空恐ろしいことです。

 

ラクダの時期に、忍耐の中でしっかりと学び、ライオンの時期に自分の頭と体と心を使ってしっかりと考えること。“その上で”、赤ん坊になって、新たな価値を創造すること。頭でっかちの人間にはなりたくないですね。

 

 

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小学生に授業 (朝日文庫)

小学生に授業 (朝日文庫)