7世紀の日本建国以前の歴史は、日本史ではなく、広い意味での中国史

 

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 日本史という枠組みは、日本という国家が成立したあとにしか当てはまらない。日本建国以前には、国境がまだなかったのだから、当然、国内と国外の区別もなかった。
 だから、 7世紀の日本建国以前の歴史は、日本史ではなく、日本古代史でもなく、日本列島・韓半島満洲・中国にまたがる、広い意味での中国史なのである。この意味での中国史が、すなわち日本建国以前の世界史である。
 中国史は、紀元前三世紀の秦の始皇帝の中原統一とともに始まったが、最初の五百年間の主役は秦・漢の中国人であった。それが四世紀初めの五胡十六国の乱を境いに、中国人の勢いは衰えて、北アジアの遊牧民出身の人々が代わって中国史の主役となり、それとともに満州韓半島・日本列島でも、土着の人々が主導権を握るようになった。この状態が三百年続いた後、遊牧民出身の隋、唐が中国を再統一し、かつての秦・漢帝国の再現をめざして、満州韓半島に介入した。七世紀に新羅と日本がそれぞれ統一王国になるのは、唐の介入に対する反応であり、中国に対する自衛の手段であった。このように中身は入れかわっても、中国の存在が韓半島・日本列島の人びとにとって脅威であることは変わらなかったのである。

 

 

岡田英弘 『日本史の誕生』「序章 日本の歴史をどう見るか」14-15頁、ちくま文庫、2008年)

 

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日本という国家成立の起源は、日本独自で誕生したわけではない。

アジア、中国の歴史に関係している。

現在の国境で区切り、単に日本の歴史、韓国の歴史、中国の歴史と分けて考えることはできない。

 

 

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日本史の誕生―千三百年前の外圧が日本を作った (ちくま文庫)

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