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草木の芽生えを楽しみながら歩けば、それはすでに文化的な活動

メモ 読書 文化・芸術

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 そこで大きな力を持つのが、文化です。衣食住の必要を満たすだけでは、文化とは言えませんが、たとえおなじ食べ物でも、盛りつけにちょっと工夫をこらせば、それはすでに文化です。あるいは、道をただ急ぐかわりに、草木の芽生えを楽しみながら歩けば、それはすでに文化的な活動です。芸術作品の創作も、鑑賞も、本来はそういうことからはじまったわけで、すべてはその延長上にあるのです。このように、身のまわりの物事を楽しみ、生活にちょっと手間をかけて彩りを添えることは、人間にささやかな自尊心を与えてくれます。そうやって手に入れた自尊心は、ささやかではあってもゆらぎはせず、積もり積もってしっかりとしたものに育っていきます。それがあれば、勝ち負けに悩むことも他人を見下すこともなく、ゆったり構えていられますし、年を取ろうと、貧しくなろうと、逆境におちいろうと、自尊心をまるごと失ったりはせずにすみます。それが文化というもののありがたさで、大人はその楽しみ方を子どもに手渡していかねばなりません。読書の楽しみも、そのひとつなのです。

 

(脇朋子 『読む力は生きる力』「第1章 読むことはなぜ必要なのか」19-20頁、岩波書店、2005年)

 

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読む力は生きる力

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