論理的に喋る能力を身につけるよりも、論理的に喋れない立場の人びとの気持ちをくみ取れる人間に

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 東日本大震災以後、リーダーの資格ということが多く問われてきた。大学でもリーダーシップ教育が、声高に叫ばれている。

 通常、そういった場面で言われるリーダーシップとは、人を説得できる。人々を力強く引っ張っていく能力を指す。しかし、私は、これからの時代に必要なもう一つのリーダーシップは、こういった弱者のコンテクストを理解する能力だろうと考えている。

 社会的弱者は、何らかの理由で、理路整然と気持ちを伝えることができないケースが多い。いや、理路整然と伝えられる立場にあるなら、その人は、たいていの場合、もはや社会的弱者ではない。

 社会的弱者と言語的弱者は、ほぼ等しい。私は、自分が担当する学生たちには、論理的に喋る能力を身につけるよりも、論理的に喋れない立場の人びとの気持ちをくみ取れる人間になってもらいたいと願っている。

 強いリーダーシップへの疑義と、その危険性については、第五章で詳しく述べた。どちらのリーダーシップが社会を幸福にするかは、私にはわからない。しかし私は、弱者のコンテクストを理解する能力を持ったリーダーを望む。また、そのような学生を育てたいと強く願う。

 

 

平田オリザ『わかりあえないことから』「第七章 コミュニケーションデザインという視点」182-183頁、講談社現代新書、2012年)

 

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話すことより、「聴く」ことを重視したい。

論理的に話すことは、もちろん大事。助詞や接続詞などの使い方に気をつけること、自分の考えをきちんと整理して話すことは、国語教育でも重要ですが、それと共に、いや、それ以上に、まず聴く姿勢というか、話しやすい環境を作ることも大事かと。

相手が何を言いたいのか、想像しながら聴くこと。

考えながら聴くこと。

相手に寄り添うこと。

安心して学べる環境が大前提となりますので・・・。

 

学び合いも、この聴き合う関係からスタートする。

 

 

 

わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書 2177)

わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書 2177)