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「席ある?」「無理です」

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 ぎりぎりで空港に着いた。見上げたボードには便名の横に、満席の文字。予約はしていない。あきらめきれず、航空会社の係りの女性の所に行った。

「〇行きの×便、一席だけなんですが、空いてませんかねえ」

 さっきから何度も同じような質問を受けているから、空席など無いことは百も承知のその女性。ところが「無理です!」「ありません!」と即答することはまず無い。

「少々お待ちくださいね、すぐ調べてみますので」

 わざわざパソコンの所に行って、手早くキーボードをカチャカチャと叩き、がっかりした様子を見せながらこちらに歩み寄りこう言う。

「お客様大変申し訳ありません。やはり全席満席となっておりまして、お乗りいただく事ができません。〇までの次の便をチェックしましたところ、二席空きがございました。三時間ほど後になってしまいますが、いかがいたしましょうか?」

 とても申し訳なさそうな表情でおっしゃる。まるで自分の不幸を嘆くように。客はこの、自分と一緒につらい気持ちを分かちあってくれた彼女に心癒され、気持ちを切り替え笑顔でこう答えることだろう。

「じゃあ、その便をお願いします」

 これが即答ならどうなるか。「席ある?」「無理です」なんてやり取りだったら、客としてどう感じるだろう。

 結果は「空席無し」と同じだが、「即答」されるより、「努力するところを見せる」「残念な気持ちを共有する」そのための手間を惜しまない、この「一手間」のおかげで、客は「次もこの航空会社を使おう」と思うのではないか。

 実は若者に限らず、この種の「即答」に近いしゃべりをして、知らずに損をしているケースは珍しくない。代表的なのは、何でも「でも」「だって」といった言葉から返事が始まるタイプ。せっかく喜んでもらえると思ったのに、「でもですね……」と反応されたらがっかりする。こういう人には自然と話しかけづらくなるものだ。

 

 

梶原しげる 『即答するバカ』「はじめに」8-9頁、新潮新書、2010年)

 

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『即答するバカ』読了。

上司から仕事を頼まれたが、「いや、無理です」と即答する近頃のワカモノを批判するような内容かと思いきや(それもありますが・・・)、主にコミュニケーションの取り方や、職場での「口のきき方」などについて、著者の考えが述べられています。

何かと話題になる「ら抜き」言葉や、「か取り」言葉や、敬語の使い方など、普段私たちが何気なく使っている言葉に注目し、相手とスムーズに、そして和やかに対話を繰り広げるためのポイントを示しています。違和感のある言葉遣いをしていると、相手によっては、「ん?」とひっかかり、あるいはがっかりされ、対話や商談がうまく運ばないケースもあるようです。

そして、本書で紹介されている様々な場面での言葉遣いや、心構えは、ビジネスマンはもちろんですが、教育現場で働く者にとっても勉強になります。

新人時代の「電話番」や、「行き当たりばったり力」、「ちょいゆる力」、「ほめる力」など・・。実践できる場は多くあり、それが自分の力となっていきます。

やはり、社会人として、仕事が「デキる」人にならないといけないと思いますし、教師といえども、一社会人です。

 

「即答」することは、時として必要なときもありますね。

何か頼まれたら、「はい!やってみます!」とやる気を見せることも大切。そして、その後で「悩む」w

まずは、やってみる。そして、分からないことや、できないことがあれば相談し、色々と試行錯誤していく中で、自身の成長もあるということです。

効率化ばかりを重視して、あるいは失敗を恐れて、「できないから」初めからやらない、「恥をかきたくないから」やらないというのでは、進歩も何もありゃしません。

 

 

 

即答するバカ (新潮新書)

即答するバカ (新潮新書)