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具体的に他者の幸福を願ったほうが祈りは強い

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橋口 ただ、今まで私がイメージしていた「祈り」って、漠然と幸せになりたいとか、みんなが幸せになりますように祈りましょうっていう空気感のようなもので。あと、世界平和のためにとかね。

内田 漠然とした祈りは弱いよね。具体的に、そしてできたら自分自身の利害得失と関係なくて、人のために祈るのがいい。

名越 そうそう。

内田 自分のために祈るとね、どっかでブレーキかかっちゃうの。これが変な話でね。私利私欲のための祈りとかは強いと思うかもしれないけど違う。私利私欲で祈っている嫌な俺っていうのがどこかにあるから弱まっちゃう。

橋口 原発に祈っている時は、私利私欲ないしな。だから続けられているっていうのもある。

名越 そうやって、具体的に自分の信条の中の、キリストでも先祖でも宇宙でも大自然でもなんでもいいけど、どこに集中する時にしっくりくるかを見極めて自分が祈りたい対象を選び、心の高度を上げて拝めばいいのです。

橋口 うん。何かに向かって、他の人のことを祈っているんだけど、自分と自分のまわりの世界のことがワーッと見えてくる。私利私欲だけを見つめている時には得られない感覚なんですね。

内田 この人がこんなふうになりますように……って、具体的に他者の幸福を願ったほうが祈りは強い。そうやって、人のために心から祈ることが大事なんです。

 

 

内田樹×名越康文、橋口いくよ[聞き手・文] 『価値観再生道場 原発と祈り』「第3章 原発と祈り」65-67頁、メディアファクトリー、2011年)

 

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 「祈り」がもたらす心身への影響について、様々な研究が行われているように思いますが、科学では理解できないことも、起こり得ることは十分考えられるのであって、今後、科学技術がもっと進歩したり、数多くの実証から研究が進んでくると、解明できることも増えてくると思いますが。

なんにせよ、風邪薬の成分を理解していようが、していまいが、その効果は等しく表れるものです。それは、多くの人たちが経験していますし、自分自身も体験していれば確信は深まるでしょう。

 

本書は、教育論について多くの著作がある内田先生と精神科医の名越先生、そして作家の橋口さんの鼎談です。

内田先生の著作は何冊か読み、その思想には共感するものが多くあります。そして、本書でも読み進めていくと、共感することがあり、また目から鱗が落ちる内容です。

タイトルにあるように、「原発」と「祈り」というテーマを中心に、3・11以降の日本における危機的状況、今後の見通しやらを御三方が自由に論じています。

おそらく、信じている信条は違いますが、やはり根底で通じるものもありますし、「祈り」という行為だけみても、その形や儀式は違えど、その行為自体が持つ意味には共通項があるのだと思います。

そして、本書では語られていないもっと深い部分の意味というものもあると思います。

「祈り」について改めて考えさせられました。

 

最近は、読書の量も減っていますが、時間を見つけては少しずつ読み進めていきたい。

そして、読書量が減っているとともに、人と語ることが増えてきたように思います。まあ、こっちの方が大切なのかもしれませんけどね。読書で様々な見方や見識を広めてインプットし、それを対話によってアウトプットするリズムが理想です。

人生、限られた時間の中で、どれだけ有意義な時間を過ごせるのか。ある意味、勝負です。

 

 

原発と祈り 価値観再生道場 (ダ・ヴィンチブックス)

原発と祈り 価値観再生道場 (ダ・ヴィンチブックス)