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持っていくものは、「信頼」だけ

読書 教師論 教育 倫理 社会・組織 仕事

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 刑務所には決して起こしてはならない三大刑務事故と呼ばれるものがあります。
「自殺」と「火災」、そして「逃走」の三つです。
 桐分校には10月と2月に施設内教育(遠足)があります。
 受刑者は裁判所に出廷するときや移送されるときなど刑務所の外に出るときは、かならず手錠と捕縄をします。しかし、桐分校の施設外教育(遠足)のときだけはそれがありません。
 付き添いの職員も緊張しています。この55年間施設外教育で事故は一度もありませんでした。しかし、過去に1度も事故がなかったから今回も大丈夫という保証はありません。付き添い職員の神経は正門を出発するときから、その門に戻るまで張り詰め、緊張しています。
(中略)
 出発のときに私は生徒に言います。「今日、ぼくは手錠も捕縄も持ってきていません。ただ一つ武器を持っていきます。それは『信頼』です。 4月から君たちとぼくで築いてきたものです。ぜひ、この『信頼』に応える1日を送ってください」
この「信頼」と言う言葉が彼らの心に響くようです。

 

 

(角谷敏夫 『刑務所の中の中学校』「桐分校の1年」46-50頁、しなのき書房)

 

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部屋の片づけをしていたら、大学時代の教職関係の資料が色々と出てきたわけですが、その中のメモ欄に、「必読書・・・」としてメモしてあったのが、『刑務所の中の中学校』です。

メモしたまま忘れてて、先日、やっと購入しましたw

日本で唯一、刑務所の中にある公立中学校。生徒はもちろん受刑者。

ここで学ぶ生徒は、義務教育を卒業しないまま、刑務所に入ることになり、漢字はもちろん、作文もまともに書けない状態です。しかし、生徒たちの学ぶ意欲は高いです。文字を読めるようになりたい、書きたい。計算ができるようになりたい。歴史を学びたい。等々、できないことばかりの生徒たちですが、向学心だけは強く持っていることが印象的です。

途中で、勉強についていけなかったり、人間関係で悩み、辞めたいと訴えてくる生徒も何人かいるそうです。当然といえば当然のことかもしれませんが、何度も話しを聴き、時には厳しく慈愛をもって激励し、無事卒業を迎えるようになる。

教育の原点。学ぶことの意味。大切な多くのことを学べる1冊。

 

教師と生徒。

親と子。

友人同士。

恋人。

先輩・後輩。

様々な人間関係がありますが、根底に「信頼」がなければ、真の人間関係は築けません。

 

 

 

刑務所の中の中学校

刑務所の中の中学校