彼は知ったかぶりをするよりは、正直に知らないという方が立派な態度であると考える

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 これらの、失敗や無能の汚名に対する日本人の反応と全く同じ態度が、アメリカにおいてもたびたび見受けられる。我々は皆ひとから悪しざまに言われると狂気のようになって怒る人びとのいることを知っている。しかしながら我々アメリカ人は日本人のように自己防衛に汲々とすることは稀れである。もし教師がカエルがどの種に属するかを知らなければ、たとえ自分の無知を隠したい誘惑に負ける場合があるにしても、彼は知ったかぶりをするよりは、正直に知らないという方が立派な態度であると考える。実業家は、もし前にやらせてみた方針が思わしくなければ、新しい、別な命令を出せばよいと考える。彼は今まで自分のやってきたことが正しかったのだと言い張れなければ自尊心が保てないとは考えない。またもし自分の誤りを認めれば、辞職するか隠退するかしなければならないとも考えない。ところが日本ではこの自己防衛と言うことが非常に深く根をおろしている。そこで、ある人に面と向かって、彼が職業上の過失をおかしたということをあまり言わないようにすることが、一般に行われている礼儀でもあり、また賢明な人のとる態度とされている。

 

ルース・ベネディクト、長谷川松治訳『菊と刀』「第八章 汚名をすすぐ」188-189頁、講談社学術文庫

 

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アメリカ人が日本人の行動と性格を分析し、日本の国土、歴史から日本人独特の心理作用を論じている本書。

性格は人それぞれですし、時代も流れていく。ですが、その国特有の文化から、その国民性も形成させていくと思いますし、その国民性が文化を育んでいくと思います。

アメリカ人、中国人、アフリカ人、日本人・・・。それぞれ違いはたくさんありますが、同じ人間としてみれば、共通点も多くあります。

が、やはり、日本人の「島国根性」というのは、同じ日本人として嫌気がさします。少しずつ時代の変化によって、そういう気質もなくなりつつあるのかもしれませんが、長い年月をかけて培われた「失敗を認めたくない」という「自己防衛」、そして、人の揚げ足を取る態度などは、なかなか払拭できないものなのかもしれません。現に、ニュースで取り上げられているような数々の不祥事が、この日本人の国民性を表しているのかもしれません。

 

謙虚でなければ、学べないし。

学ばなければ、成長もない。

成長が止まった瞬間、堕落が始まる。

 

自戒の念も込めて。。。

 

 

 

菊と刀 (講談社学術文庫)

菊と刀 (講談社学術文庫)