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怖くて外へ出られないという人がおられたら、外へ出られないというつらさを「共感」しながら聴いていく

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 ノイローゼといっても非常にいろんなものがありますけれども、日本の人がよくなるノイローゼに、たとえば対人恐怖症というのがあります。こういう所へ出てこられても、なにか人に会うといやだから、なるべく隅の暗い所へ座るとか、あるいはそもそもこういう所へ出てこられない。しかも大事なことは、そういう人は頭の中では人間はなにも怖くないということはご存知なんですね。それはわかっているのだけれども、ともかく怖い、どうにもならない。だから非常に気の毒なのです。そういうノイローゼをなんとか治してください、といってわれわれのところに来られる。それをなんとか治さなければなりません。

 その時にわれわれとして非常に大事なことは、その人がどんなふうに苦しんでおられるのか、どんなふうにその問題を克服しようとしておられるのかということを一緒に考え、一緒に悩んでいくということです。その人を、先ほどいいましたような、客観的に突き放して観察する、研究するというのではなくて、怖くて外へ出られないという人がおられたら、外へ出られないというつらさを「共感」しながら聴いていく、私どもも共にという姿勢です。

 そんなふうにして、そういう人と話し合っているうちにわかってきたことは、これは外に出られない人を出るようにしてあげるとか、あるいはこのごろよくあるように、不登校の人学校へ行けるようにしてあげるとかいうふうな単純な問題ではなくて、そこにはいかに生きるかということが入ってくる。つまり学校行けない人は、ほんとうは行けないということについて、行けないだけのその人にとっての意味があるわけで、それはどういうことなのだろうかということを考えているうちに、その人の考え方、人生観、世界観、そういうふうなことがだんだん問題になってくるわけです。

 このようにわれわれの心理学は、はじめはノイローゼの人を治療するという非常に現実的なことからでてきながら、結局は生きるということはどういうことなのか、あるいは生き方としてどういうことがあるのだろうか、という人間の根本問題にだんだん近寄らざるをえなくなる。何らかの意味で人間の人生全般について考えねばならなくなってくる。

 

河合隼雄『こころの最終講義』「第五章 アイデンティティの深化」259-260頁、新潮文庫

 

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あっという間に11月です。

だんだんと寒くなってきました。

相変わらず、たくさんの行事と日々の実践で慌ただしい毎日です。

事故にはくれぐれもご注意を。健康第一。

 

最近は、河合隼雄先生の本を読んでいるわけですが、たまに、学校の先生という仕事は、一体なんなのかと考えるときがあります。

国語や算数の知識を教えるだけではないことはたしかです。

心の闇を抱える子は、一人や二人ではありません。20人いれば、20人それぞれが、教科書以外のものも背負って登校します。

それぞれの“物語”をもって生活を重ね、友だちや先生、家族、地域の人たちにかかわっていく。

その“物語”をどれだけ聴くことができるだろう。

 

 

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こころの最終講義 (新潮文庫)

こころの最終講義 (新潮文庫)