人びとの状況に応じて、世の中の「文脈」に即して、柔軟に対応していくリーダーシップ

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 金氏との対談は2009年の春に実現したのですが、そのときにもっとも印象に残った言葉は、「私は民衆の半歩前を歩く」という一言でした。
 一歩ではなく、半歩。ましてや十歩ではない。そこが、金氏のリーダーシップのミソです。
 十歩前を行く人というのは、ドン・キホーテのような夢想家か、あるいは先に触れたような革命家や独裁者でしょう。もちろん、ズンズン先へ行くことで成功するケースもありますが、多くの場合は急進的すぎて挫折しがちです。
 これに対して、金氏は「半歩」と言ったのです。ぜったいに国民の手を離さず、国民がついてこなければ、「半歩」下がって彼らの中に入り、わかってもらえるまで説得して、同意が得られたなら、また「半歩」先を行く、と。
 それを聞いて私は、「現代」という難しい時代にふさわしいリーダーシップは、これではないかと、たいへん感心したのです。
 たとえば、同じリーダーシップを考える場合でも、その時代が「混乱期」なのか、「転換期」なのか、「戦時」なのか、「爛熟期」なのかで、ずいぶん違います。企業であれば、できたばかりの未熟な組織なのか、時間がたって成熟した老舗組織なのかで、求められるリーダーの姿はかなり変わるのでしょう。
 相手が未熟な場合は、三歩、五歩、場合によってはもっと先に行くほうがいいときもあるのかもしれません。
 たとえば、ロシア革命のときの民衆は、教育もあまり受けていない貧しい農民がほとんどでした。だから、指導者は十歩先を行っていてもよかった。そのほうが「頼もしいリーダー」として、人びとに尊敬されたと思います。しかし、いまのように情報が溢れ、知的レベルの高い社会では、十歩先に行くような人は、過激でアブナい人物とみなされます。そんなリーダーに誰も共感しないはずです。
 金氏の言う「半歩前」とは、そのように現代社会のあり方をいろいろ考慮したうえでの「半歩前」なのです。
 とはいえ、これは象徴的な言い方であって、実際には「一歩前」のときもあるでしょう。ときによっては、「半歩後ろ」に下がる必要もあるのかもしれません。それらを平均して、「半歩前」。
 ですから、人びとの状況に応じて、世の中の「文脈」に即して、柔軟に対応していくリーダーシップ―――。このようなリーダーシップが、いま、最も求められているのです。「半歩前」という言葉に関して、一つ思い出したことがあります。それは、マキアヴェリの『君主論』です。
 この中で、マキアヴェリは、低い土地の風景を描きたいならば、高い山に登って見下ろさなければならない、高い山の風景を描きたいならば、低地に降りて、下から仰ぎ見なければならないと言ったのです。それと同じように、人民の本性を知るためには君主の立場からそれを見なければいけないし、君主の本性を知るためには人民の立場からそれを見なければいけない、と。
 つまり、リーダーとそれに従う人びと(フォロワー)は、互いに相手の立場に立ってみなければいけない、というわけです。


姜尚中『リーダーは半歩前を歩け―金大中というヒント』集英社新書)

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この本は、BOOK-OFFで見つけてきました。
半額で購入^^

その他半額以下で売られている本がたくさん!

BOOK-OFFバン万歳っすw

この本の中で、政治に関してのリーダーシップというのも描いてまして、
戦後の日本国の体質、政治の実態、国民の心理等々・・・
姜尚中さんの政治に対する見解は勉強になります。

またこの中で、韓国の金大中元大統領との対談も興味深いです。


さて、
教育実習の担当クラスが3年生に決まりました。

田舎の学校なので、人数は少ないですが、
その分、しっかりと一人一人に目配り、気配りを利かしていきたいと思います!

来週は、事前打ち合わせに行ってきます!

緊張しないと言えばウソになります。
不安がないと言えば泥棒になりますw

しっかり準備をしていきたいです。

また、先輩に話を聞きにいこう!

そして、今の学童での経験をしっかりと活かせるように・・・


子どもとの教育的関係を確立するためにも、
子ども達の「半歩前」を行くようにしたいですね。


リーダーは半歩前を歩け (集英社新書)

リーダーは半歩前を歩け (集英社新書)