芸術は一部の特権階級の玩弄物であってはならず、万人にとっての心の交流の場であるべきだ

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  訳者のことば

 芸術は一部の特権階級の玩弄物であってはならず、万人にとっての心の交流の場であるべきだという思想に基づいて書かれたトルストイの民話は、老若男女を問わず、あらゆる階層の人々に親しみやすい平易さと簡潔さの中に深い心理が含まれていて、全人類にとっての最高の教科書になっていると思う。現にこの私も、民話によってトルストイと出会い、トルストイによって、彼自身の著作を含めての百花繚乱の読書の世界へ案内された。そのとき以来私の、≪ひとり燈火のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とする≫心豊かな時間が始まったのである。その心豊かな時間は私を絶対的非暴力主義者とし、暴力機構を背景に民衆の上に権力をふるう人々と相容れぬ者とした。そのため私にとって、世俗的栄達の道は固く鎖されたのである。
 世俗的栄達の道は鎖されたとはいえ、それと引き替えに私は数多くの友を得た。ことにトルストイの作品の翻訳を世に問いはじめて以来、数多くの友が周囲に集まり、全国から心温まる便りが寄せられるようになった。遙けくも来つるものかなの感慨とともに、トルストイの民話との出会い以来今日までの半世紀あまりを振り返るとき、やっぱりトルストイは私を、人間としての真の幸福の道へ案内してくれたのだとつくづく思う。
 世界文学の中でも極めてユニークな立場にあるトルストイの民話は、一言もってこれを蔽えば≪一宗一派に捉われぬ純粋理性宗教としてのキリスト教のすぐれた解説書≫であり、≪神の国を地上にもたらすための平和革命の書≫である。そしてそれはそのまま、仏陀の慈悲に、孔子の仁に、老子の道に通じている。
 それゆえ私は、この書がなるべく多くの日本人に読まれるよう願わざるを得ない。ことにそれが、現場の良心的教師によって、勇気をもって学校教育に取り入れられたらどんなに素晴らしいかと思う。自由と人権と平和を目指す新憲法下の教育理念に照らしても、これほどふさわしい事があろうか!
≪善き教育こそ、あらゆる善事の源である。(イマヌエル・カント)≫


(レフ・トルストイ、北御門二郎訳『トルストイの散歩道 イワンの馬鹿』「訳者のことば」81-82頁、1993年、あすなろ書房

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まず、芸術について、
ボクの尊敬するアーティスト、「Def Tech」のメンバーであるMicroの言葉を紹介したいと思います。

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「やっぱりShenと一緒にいるっていう意味でも、ドメスティックで終わっちゃいけないと思うし。世界に行けば行くほど、日本って改めて素晴らしい国だなって日々思うんで­すよね。『Powers of Ten』っていう映画があるんですけど、人からどんどん離れて地球を飛び出して闇を感じると宇宙の果てまで辿りつき、逆に人間の体に入っていくとこれまた宇宙だっていう映­画で。世界の果てに行ったとしても宇宙だし、内面を突き抜けても宇宙だと。科学は外を解明していくけど、芸術、音楽はもっともっと内面を掘り下げていくものだと思う。それ­を世界に広げていくっていう両面を突き抜けていけたらいいなと思います。」

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改めて、芸術家の使命を感じると共に、Microの思想に共感しました。

絵画にしても、音楽にしても、彫刻にしても、芸術というのは本来、生命の躍動から生まれるものだと思うし、命の底から迸るものだと思います。

真の芸術は、そういうところから生まれているものだから、国、性別、人種、主義・思想が異なっていても、万人の心に響くものがあるんでしょうね。

お金のための芸術は、芸術ではない。

Def Techの今後の活躍に期待です。


で、話は変わって、

子ども達の教育に携わる者の一人として、やはり読書の重要性というのは、伝えていきたいものです。

とりあえず、本屋さんで見つけた4年生を対象にした伝記や物語などの読み物、科学の本などを購入してきました。

これらを紹介しつつ、読書の習慣を身につけていきたいと思います。

今までボクが読んできたものは、なかなか小学生には難しいものばかりで・・・;

かろうじて、トルストイの『イワンの馬鹿』ならイケるかと。

岩波文庫ではなく、子どもでも読みやすいあすなろ書房の本を入手しました。

でも、4年生ではまだ難しいかな〜と思いつつ、また子ども達に紹介してみようと思います。

非暴力・無抵抗、愚直に働くことを訴えている本作品は、読みごたえもあると思いますし、ぜひ子ども達にもこの名作に挑戦してほしいと思います。

読書によって、子ども達一人ひとりの世界が広がるように。


分からない言葉や語彙が出てきても、それが勉強になりますからね。

ボク自身も子ども達から教えてもらいことは多々ありますし、まだまだ勉強不足です。


そうそう、教員採用試験の勉強もしなければいけないのです;

担任をもつと、ついつい忘れてしまいます;
ボクだけですかねw


ps,
この連休を利用して、部屋の片づけと読書を進めていきたいと思います。
もちろん、友人と交流していく機会を大切にしながら。

大学を卒業し、社会に出て数年が経った人のなかには、現実社会の厳しい壁にぶつかり、悩んでいることも多くなっているようですね。
人生について、真剣に悩み、苦しむことは大切なことです。
「人生とは」「生きるって何?」「幸せとは」という答えのないような哲学的問題にも自分の頭で考え、知的格闘に挑戦していくことは、特にワカモノには必須ではないかと思うんですけどね。
当たり前のことに注目し、とことん考えてみる。自分で考え、それを友人とぶつけ合う。そして、また自分の考えが深まる、確立されていく。これは、“対話”によるしかないですね。
1対1の対話の重要性がこれだと思います。

人生の基盤となる哲学が確立されていないと、時流に流され、真の幸福を見失い、不幸のどん底に落ちてしまうことも・・・。
もちろん、「人それぞれ」なのは確か。
でも、「人それぞれだから」と思考を停止(対話を中断)してしまうのはどうかと。

時には、本音の対話も必要かと。
せっかくの連休ですしね。



イワンの馬鹿 (トルストイの散歩道)

イワンの馬鹿 (トルストイの散歩道)

トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇 (岩波文庫)

トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇 (岩波文庫)