「わかりあえないこと」を前提に、わかりあえる部分を探っていく

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 しかし演劇においては、たかが数週間の稽古を経ただけで、あたかも家族のように、あたかも恋人同士のように、あるいはよく知っている劇団員同士でも、あたかも他人のように振る舞うことができる。

 私たち演劇人は、ごく短い時間の中で、表面的ではあるかもしれないが、他者とコンテクストを摺りあわせ、イメージを共有することができる。そこに演劇の本質がある。

 そして、このノウハウ、このスキルは、これからのエンパシー型の教育に大きな力を発揮するだろうと私は考えている。ここで言うエンパシーとは、「わかりあえないこと」を前提に、わかりあえる部分を探っていく営みと言い換えてもいい。

 

 

平田オリザ 『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』「第七章 コミュニケーションデザインという視点」200頁、講談社現代新書、2012年)

 

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本日、全校で観劇をしました。「劇団うりんこ」の来校です。

名古屋からやってきてくれました。

作品は「いきもの生き方図鑑―りさがとかげになる日―」です。

4人の小学5年生が掃除の時間に、虫に変身してしまった!

理科室で起こった不思議な事件。生き物の命、友情、支え合うことなど、人権教育にもつながるテーマでした。

幼稚園児も一緒に観劇していましたが、面白いキャラクターが登場しますし、動きなども面白く、観るだけでも楽しめました。保護者の方も数名来ていました。

笑いがあり、しんみりもして、いい観劇だったと思います。

芸術の秋ですね。

 

最近、読了した「わかりあえないことから」の内容も演劇の視点から、教育、コミュニケーション能力について考察されています。

「わかりあえないこと」を前提に、そこから、少しでも共有できる部分、わかりあえる部分を探っていく能力が、今後重要になってくる。

劇をするということは、他人を演じるわけですから、他者の気持ちや状況、性格、育ってきた環境などをくみ取って、演じなければなりません。

そのスキルも他者と生きていく人間社会では、必要なんでしょうね。

 

国語の授業をしていると、「劇したいー!」と言ってくる子どももいますが、なんせ、時間の問題が・・・orz

ぜひ、授業でもやってみたいんですけどね。

 

 

 

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わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書 2177)

わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書 2177)