子どもが自発的に熱中する活動は、子どもが育つことそのもの

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  子どもが自発的に熱中する活動は、子どもが育つことそのものなのです。それは大人の計画や教育以上のものです。自分ができるようになった力を使って発見し、新しい知識を得る。そして「できた!」「やった!」という自分で成し遂げたことで得られた満足感は、人から教えられては得られないことであり、知識を教えられることよりもはるかに貴重な経験です。
  60年ほど前、児童心理学者シャーロット・ビューラーは、子どもが自分に出来るようになった力を用いることに喜びを見出し、その力によって様々なことを発見し、育つことの重要性を指摘しました。彼女はこれを「機能の喜び」と名づけていますが、自分の力(機能)を使うこと自体が子どもにとって喜びであり、それによって学び、育つという、人間の発達の本質をいい得て妙だと思います。
  現代は、この「機能の喜び」がとかく無視されているのではないでしょうか。親は「良育」にせっかちなあまり、子どもが熱中していることに我慢できないようです。遠回りにも時間の無駄にも見えるのでしょう。そのため、自分の考える「よかれ」の計画路線に子供歩ませようとします。
  ユネスコの就学前教育プロジェクト(2007年)は次のような報告をしています。すなわち、子どもが4歳の時、その子の興味や関心に沿って自発的な活動する保育(自由遊び中心)を受けた子どもは、読み書きや計算能力を高めることをねらいとした保育を受けた子どもよりも、七歳時の読み書き能力が高かったというのです。早期の知育限定の教え込みが必ずしも効果を上げないこと、逆に「機能の喜び」を味わう自発的、探索的な活動の方が重要なことなどを示唆しているといえるでしょう。
  「機能の喜び」を味わう機会の減少は、自分が学ぶ力をもっていることについて知る体験を、子どもから奪うことでもあります。同時に、子どもの自己効力感を育てる機会をも奪っています。日本の子どもたちは、ある程度の能力をもっていても自信をもてない傾向が強いのですが、自力達成の機会の少なさも一因でしょう。親の過剰な教育熱がかえって、子どもが自ら育つことを疎外してしまっているのです。その意味でも、子どもの「発達権」の保障は急務です。
 
(柏木惠子『子どもが育つ条件 ー家族心理学から考える』「第4章 子どもが育つ条件とは」154-155頁、岩波新書
 
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先日の研究授業での反省点でもあるのですが、いかに子どもの発言を出させて、子どもたちが主体的、自発的に学びを深められるようにするかが課題となりました。
それは、こちらの発問の工夫、課題提示の仕方、具体物の工夫とその提示のタイミングなどの方法論が中心なのですが、それらの準備に加え、子どもたちが試行錯誤する場をどのようにしかけるか、予想を出すだけでなく、その理由も考えて説明させるなど、子どもの声を拾い上げ、それを板書するなどの手立てをして、子どもたちが主導となる授業展開も考えられました。
こちらが説明してしまったり、まとめてしまったり・・・。子どもに教え込む形となり、自分が目指している授業とは正反対の授業となってしまいました;
まぁ、自分も授業をしていてミスの連続だというのは感じており、事後検討前から心が折れていたのですが、それをさらにボキボキと・・・w
いや、勉強になりました。ホント。自分の授業観を見直すいい機会となりました。
 
いかに、子どもの声を引き出すか。
いかに、子どもたちが主体的に学びを深めていけるか。それをどう仕掛けるか。子どもたちに「やらされてる感」をもたせずにできるかどうか。
身近なものを教材にして、授業の導入を考えたり。
5年生の理科では、台風のことから洪水の話になり、小学校前の川の話になり、そこから、川は海に流れていて、そこは三角州でできた香良洲町があり、そこで「どうして三角の形をした町ができたのか」を取り上げ、川の流れのはたらきの学習につなげたりと。子どもたち自ら土の山で川を作り、じょうろで水を流し、川の浸食、堆積などを見ることができました。そこでは、「すげー削れてる!」「ここは綺麗な川みたい」「台風の時の川もこんな感じかな」「香良洲町もこうやって自然にできたのかな」と、いろいろなステキな発言が出ていました。
 
理科の学習は、実験や観察が多いので、こうした体験的な学習があり、子どもたちの興味関心を引き出すことができるのですが、いくらイイ教材を準備しても、子どもの感情を刺激するのは、教師の人間性であると校長先生から教えていただきました。
子どもと共に、驚き、考え、想像し、喜ぶ。教師は演者でもなければいけません。
 
子どもが自ら探求する心を大切にしながら。
 
 

 

子どもが育つ条件―家族心理学から考える (岩波新書)

子どもが育つ条件―家族心理学から考える (岩波新書)