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不充分な実験、断片的理論、人間同士の不和に満ちた現代が、人類の最高の時代などと私にはとても思えない

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 彼はもどって来るのだろうか。過去に逆もどりして、旧石器時代の血に飢えた毛むくじゃらの蛮人に捕まったのだろうか。それとも、白亜紀の深海の底か、ジュラ紀のグロテスクな蜥蜴や巨大な爬虫類の中へ飛びこんだのだろうか。今も―――今というのは少し変かもしれないが―――彼は長頸竜の生息する魚卵状岩の珊瑚礁の上や、三畳紀のもの寂しい塩湖のほとりをさまよっているのかもしれない。
 それとも未来へ、それとも前のときよりも近い未来へ行っているのだろうか。そこでは、まだ人間は人間らしい生活をしていて、現代の未解決の謎がとかれ、わずらわしい問題は消滅しているだろう。それは人類が一人前の成熟を迎えた時代だ。それにくらべ、不充分な実験、断片的理論、人間同士の不和に満ちた現代が、人類の最高の時代などと私にはとても思えない。しかしこれはあくまで私の考えだ。私は彼の意見も知っている。なぜなら、タイム・マシンを発明する前に、彼はよくこの問題を私たちと論じ合ったからである。彼に言わせれば、人類の進歩などはたいしたものではなかった。文明の増大は愚かさの増大にすぎず、やがて反動的に人類を破滅させるだろうと彼は言うのだ。そうだとすれば、私たちはそうでないふりをして生きて行くしかない。だが私にとって未来はあいかわらず暗黒であり空白である―――つまり彼の話の記憶によって、断片的に照らしだされているだけの、広大無辺の未知の世界である。しかし、二つの奇妙な花が私を慰めてくれる。この花は今は萎びて茶色に変色し、形もくずれてしまったが、それでも、人間から知性と力強さが退化してしまった未来世界においてさえ、感謝とこまやかななさけが、人の心の中に生き続けている証拠だからである。


(H.G.ウエルズ作、橋本槇矩訳『タイム・マシン 他九篇』「タイム・マシン」(エピローグ)122-123頁、岩波文庫

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今日は、運転免許更新の手続き・講習に行ってきました。

視力検査が心配でしたが、余裕でクリアw

平日だったからか、短時間で終わりました。

これからも(は)無事故で、安全運転を心がけていきたいです。

免許センターからの帰り道は、いつもよりスピード控えめで走りましたが、これもしばらく経てば、いつも通りの運転になってしまうのかと思うわけですが・・・
これを機に・・・というか、いつも安全運転を心がけてますよ。ボクは。

しかし、慌てている時などは平常心を失ってしまい、ついイライラしてしまうこともあったり。

常に心と時間にゆとりをもって行動したいですね。財布にもゆとりをもっておきたいw


さて、途中まで読んでおきながら、本棚に眠っていた本がありまして、それを今日は読んでおりました。

『タイム・マシン』

これは、大学の英語の教科書に載っていたし、試験の範囲だったので、岩波文庫の本を買いました。

他九篇とあるように、10の物語が収録されています。

そう、一つの物語ではないので、途中でほったらかしに・・・w

中でも「タイム・マシン」が傑作なのですが、数年前に読んで衝撃を受けた記憶があります。内容はほとんど忘れてますが;

80万年後の未来社会はどうなっているのか。

今のまま人類が進歩を続けていくと・・・。

再読してみたい本です。


この作者、ウエルズさん。結構有名みたいです。


タイム・マシン 他九篇 (岩波文庫)

タイム・マシン 他九篇 (岩波文庫)