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個性というのは自分で名乗るものではなくて、他者から与えられるもの

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 内田 学生の就職活動の様子を見ていても、世の中には自分だけにしかできない「唯一無二の」適職がどこかにある、という幻想を刷り込まれていますね。俺は恋愛幻想と同じ構造になっている。仕事をする前に自分の適性や適職なんかわかるはずないのに、そういうものがあらかじめ自分の中に初期設定で組み込まれていると思っている。だから、就職してすぐに「これが果たして私の天職なのだろうか」と悩んだ末に辞めてしまう。飽きっぽいじゃなくて、純粋なんです。唯一無二のオリジナルな人間として自分だけにしかできない人生を生きなければならないと信じ込まされているから。だから、何かを始める前に、「本当の自分らしさってなんだろう? 」と自問したままその場に凍りついている。でも、個性というのは、まさにインターディペンデントな関係の中で、その人が何かの役割や業績を果たした時に、「あなたはこういう能力があり、こういうことに適正があった」ということを周囲から承認されるというかたちで知るわけですよね。個性というのは自分で名乗るものではなくて、他者から与えられるものでしょう。そういうことがわからない。

 鷲田  僕のところにも「先生、他の人になくて僕にしかないものってなんでしょうか」とか「僕にしかできない仕事ってあるのでしょうか」ってよく来ますよ。だから「何もありません。会社っていうのは入ったら誰でもできる仕事しかさせてもらえない。どこの馬の骨だかわからない人に、その人しかできないようなことをさせるなんて、そんなリスキーなこと会社がさせるわけがない」って言ってますけどね(笑)。でもだからといって、将来ずっと誰にでもできるような仕事しかできないわけではなくて、誰にでもできることをこつこつ工夫しながらやっているうちに、これはあいつにしかできないとか、あいつにまかせとけば大丈夫だとか、周囲が認めるんですよ。

 

 

内田樹鷲田清一 『大人のいない国』「第1章 対談「大人学」のすすめ」23-24頁、文春文庫、2013年)

 

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今の仕事について、本当に自分に合っているのだろうか、とか考える前に、こつこつとあれこれと工夫を凝らしながら続けていくことが第一でしょう。

昨年度、初めて担任を持った時は、撃沈しそうになりましたが、周りの先生方、子どもたちに支えていただいたおかげで、何とか乗り越えました。その時、「子どもが可哀相。もう担任変わったほうがいいんじゃないか」とか「自分の代わりになる先生はたくさんいるんじゃないか」とか頭をよぎったりしましたが、これは「自分の力不足」なんだと言い聞かせるもう一人の自分もいたわけです。

誰しもが通る道を通り、その中で成長させてもらって、自分の道を創っていく。

「誰にでもできることをこつこつ工夫しながらやって」いくことをしなければ、自分のオリジナリティは生まれてこない。

先輩たちの実践を学ばずして、「学び合い」も、くそもない。

 

「使命」というのは、「自覚」の問題かと思う。

 

 

 

 

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大人のいない国 (文春文庫)

大人のいない国 (文春文庫)