教育

個々の子どものニーズを把握する習慣

- 通常の学級に在籍するさまざまなニーズのある子どもをどう支援していくのか考えたとき、彼らを医学的に分類し、診断名をつけていくことが究極の目標ではない。なぜなら、繰り返し述べているように、診断名をつけることでその後の支援の方向がきちんと示さ…

それぞれの子どもにとっては自分に話しかけられているという感覚が生まれること

- 何人もの子どもを対象にする場合、是非実行してほしいのは、意識的に一人ひとりの顔を見て話すということです。もっと厳密に言えば、子どもの目を見て話すようにするのです。しかも、このことをこの子どもに語り、ここのところはあの子どもに語りというよ…

その場所で励めばそこが「華」だ

- 自分の生まれた土地がどのような僻地であろうと、それに劣等感を抱く必要はなく、その場所で励めばそこが「華」だというのである。松陰が松下村塾の教育理念としてかかげた華夷の弁とは、松本村という辺境に英才教育の場を興そうとする壮大な意図をうたっ…

子どもがどんなに喜んだ顔をしていても、それに惑わされず、ほんとうによい仕事をしているかどうか、きびしく自己規制ができる人、それが教師です。

- このごろ、教師という職業はあまり尊敬されなくなりましたが、私は教師というものが尊敬された時代に教師になりました。そのころは、教師になりたいという子どももたくさんいた時代でした。私もまたそうしたあこがれで、教師になったといってよいでしょう…

生まれたときにわたしたちがもってなかったもので、大人になって必要となるものは、すべて教育によってあたえられる

- 植物は栽培によってつくられ、人間は教育によってつくられる。かりに人間が大きく力づよく生まれたとしても、その体と力をもちいることを学ぶまでは、それは人間にとってなんの役にもたつまい。かえってそれは有害なものとなる。ほかの人がかれを助けよう…

いくら理想を掲げても、現実には崩れることもあるでしょう。だからといって諦めたり、最初から理想を持つことを放棄したりしてはならない

- ただし、教師には2つ、ぜひ心に留めてほしいことがあります。たとえば親は、もしも自分の子どもに矢が飛んできたら、きっとわが身を前面に出してでも子どもの命を守ろうとするでしょう。愛情ってそういうものですよね。教師は親とはちょっと違うけど、子…

子供たちは 小石を集めては また撒きちらす。子供たちは 隠された宝を探そうとはせず、網打つ術も知らない。

- 子供たちは 砂で家を作り、貝殻で遊ぶ。枯葉で小舟をあみ、愉しげに 広い海に浮かべる。子供たちは 世界の海辺で 戯れ遊ぶ。 子供たちは 泳ぎを知らないし、網打つ術も知らない。真珠採りは 真珠を求めて海にもぐり、商人は 船に乗って航海する。そのあい…

良書を読め

- 「こういう物語は少年に人生や仕事に対して間違った考えを与えてしまうんですよ。知らなくてもいい悪いことや下品なことを教え、お姫様をお嫁に貰うとか、世間的な名誉をさずかるとか、骨を折らないで一攫千金の夢を見るようになります。誰か生き生きした…

真の生命というものは、殻つぶのうちに生命がひそんでいるのとおなじように、人間のうちにいつもひそんでいて、時が来ると、その姿をおもてにあらわすものである

- 人間という存在のうちに真の生命のあらわれる経過を観察して、しらべてみると、よくわかるのだが、真の生命というものは、殻つぶのうちに生命がひそんでいるのとおなじように、人間のうちにいつもひそんでいて、時が来ると、その姿をおもてにあらわすもの…

受験こそ、子どもたちみんなで助け合って突破してもらいたい

- 生徒同士でテストを採点させたように、私は常に「話し合いの勉強」「共同作業」ということを重視してきました。 とりわけ高校生になると、受験という問題は避けて通れませんし、しかもそこでは、とかく「競争」「ライバル」「孤独」といった要素が強調され…

教育熱心な長州藩

- 長州藩の領地は、真ん中に中国山脈が横たわり、田畑となる平野部分が少ない。農業だけでは、食べてゆけそうにない。そこで長州藩では多くの人々が知恵を出し合い、産業を興して、藩を運営してゆく。 特に重要な特産品として開発されたのが、米・塩・紙・蝋…

優秀な監督は、生徒たちにスポーツの本当の楽しさや、自分を追い込むことの大切さを理解させています

- 原点に返るというのは、簡単なようでいて大変に難しいものです。私は普段、試合に負けたときはすべて監督の責任だと思っています。負けるような試合をする選手を育てたのは私なのです。ですから試合に負けたときは、理由を考えているまでも眠れません。答…

引き出し手によって、人間というのは底知れぬ力を発揮する

- 引き出し手によって、人間というのは底知れぬ力を発揮するものだ。 このエピソードで藤吉郎が成功したのは、まず、 “なんのためにこの仕事をやるのか” という目的を、下で働く者全員にしっかりと理解させたことである。そして次に自分の属する組に入って自…

人間の理想像をおのがじし胸に画いて、その実践に努めねばならない

- 最近とみに、人類滅亡の危機が叫ばれ、それを載りこそうとして、平和への道の模索が真剣に語られているが、このような危機は、いまにはじまったことではない。一万五千年の昔、すばらしい前頭連合野をいただいた現代人が出現したその瞬間から、はじまって…

子どもを教えるには、手をかけてやると同時に、目をかけてやらねばならぬ

- 近年、赤ん坊の保育にスキンシップの重要性が強調されているのはゆえなきことではない。お乳を飲ますときの肌のふれあい、だっこしたり、おんぶしたりするときの皮膚の圧迫によって、赤ん坊の心は母親のなかにとけこみ、安らいだ心で育ってゆくのである。 …

「自信を持ちなさい」というよりも、ほめるほうがはるかに自信を持つ

- なぜ、子どもはほめられると“やる気”がでるのでしょう。 第一に、それは、ほめてくれるお母さんの顔がにこにこしていて、声が明るいからです。子どもはお母さんの顔と声に最も関心が高く、敏感です。じつは、赤ちゃんの時でもほめてあげれば、顔と声で十分…

近況報告

こんばんは。少し暖かくなってきましたね。週末はまた寒くなるそうですが。引き続き、体調管理には気をつけたいです。 さて、今日の夜、教育委員会から電話がありました。講師についてです。市の教育委員会に講師登録をし、市内の小学校へ勤務できるかと思っ…

子どもたちに名作を与えておきながら、自分が読まないのは犯罪だよ

- 教師も親も子供の成長のために何かをするよりは、じっと見守ることの大切さを毛利さんは指摘され、私のエッセイ『おはなし おはなし』のなかの「ただ座っていること」の難しさに触れた部分に言及される。教師が子供に何やかやとしたり言ったりするときは、…

あの子たちがこの学校にきて、なにかたのしい思い出をもって帰ってくれたら、それで十分なんだ

- 「おれはこの学校にきて十年になる。毎日が冒険だ。さて、なにをしでかしてくれるか。興味津々ってやつだ。あんたたちの学校なら、おおきくなった卒業生が挨拶にくるなんてこともあるだろう。立派に育って、社会人になったりしてな。なかには教師よりも出…

実はどのような情報も、それ自体が真実を語っているわけではなくて、本当のところはどうなのかを自分で考えるための素材でしかない

- あれがダメならこの手があると、自ら解を求めていくことができるか。 時々、カメラマンで「自分は才能はあるのに報われない」と言う人がいます。でも、それは言い訳だと思います。そういう人に限って、編集部への売り込みのために自ら動くことはなかったり…

友との語らいから

- 私が小学校の3年生を受け持っていたときのことです。あるお母様から娘のことで相談にいらっしゃいました。 「先生、うちの子は、もう3年生になるというのに、家ではまだお人形遊びばかりをしているのです。幼いのです。勉強もしないでお人形遊びばっかり…

「困った親」「困っている親」

- 本来、家庭で行われる教育はすこぶる私的なものであって、それらは家庭や親の思いとともに、子どもとの間で相互作用的におこなわれる営みであると思います。世界観、人生観あるいは宗教観を含めて、なぜ(目的)、何(内容)を、どのよう(方法)に育むの…

「親が……」「教師が……」ではなく、「子どものため」をなおざりにせず、実のある道筋を探すこと

- 「親がなっていない」「いや、学校の方こそ問題だ」と言い合っていると、出口がなくなります。出口(解決の糸口)をともに見つけることが、最も大事なことなのです。「先生を問いつめる」あるいは「親を追いつめる」のではなく、子どもたちのために手をつ…

花がそんなにも身近にあり、それがわたし自身のものであったことを、そして このような全き美が わたし自身の胸の奥深くに花咲いていたことを

- 二〇 蓮の花の咲いた日に、ああ、わたしの心は彷徨っていた、なのに わたしはそれに気づかなかった。わたしの花籠は 空っぽだった、なのに 花には目もくれなかった。 ただ、ときとして、ある悲しさがわたしのうえにふりかかり、わたしは 夢からふと目覚め…

一番勇敢な犠牲的行為の大部分は、人にも知られもせず、ほめられもしないものだよ

- 「もしその犠牲的行為がほんとうのものならね。だが、一番勇敢な犠牲的行為の大部分は、人にも知られもせず、ほめられもしないものだよ。それだからといって、その行為の美しさを損ねはしないのだ。 (中略) 「恥ずかしいが、辛かったね。しかし或る賢い…

どうすれば無上最大の幸福に到達することができるかという手段方法を知っている

- 世には偉大なる人格の感化を予想して人格教育を叱呼する者が多い。社会は勿論これを渇仰してやまない。その精神は誠に結構である。然し結構すぎて実際の生活には不可能な空論である。何故ならそのような人格者は何百年か何千年かに一人しか出現しないから…

バラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない

- 先日亡くなったアップル社創業者のスティーブ・ジョブズ氏のスピーチにもありましたよね。「未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない。君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなんだ。だからこそ、バラバラの点であっても将来それが…

基本的に、ものごとは、なかなか自分が望んでいる通りにはならないものである

- 過去の対局と現在進行中の対局とでは、異なった状況になっているはずで、ニュートラルな決断をする大変さを痛感させられることが多い。 「対局中の棋士は、常に冷静に考えながら決断している」と思っている人がいるかもしれないが、プロといえども、対局中…

将来にわたって大きな影響を及ぼすテーマであるにもかかわらず、感情的な反応や、一人一人の体験や印象だけでいろいろな意見が飛び交い、物事が決められていくことの多い領域では、自分たちで考える力はとても大切な力

- ただ、学校という身近な問題を例に、自分の頭で考えようという姿勢自体は、変える必要がないと今でも思っています。学校の基本的な仕組みは、それほど大きく変わっていないからです。自分で考える力がつけば、その先に、この文庫本のあとがきで書いたよう…

いまだこりず候

- 先生の気持ちと生徒の気持ちのすれ違い。この違いの中に、教師の仕事、それに学校という場所の特徴が表れていると見ることができそうです。 その特徴を明らかにするために、まずは「人の気持ちを理解する」とはどういうことなのかを考えてみましょう。先生…